crosstalk01 プロジェクトメンバー対談 前代未聞の難易度に挑戦。“七面山プロジェクト”の裏側とは…?

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    K.H

    「七面山プロジェクト」営業担当。プロジェクトの現地調査から計画まで、約2年をかけて構想。顧客と強い信頼関係を創り出し、プロジェクトを受注する。

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    A.H

    「七面山プロジェクト」メイン施工管理担当。前代未聞の条件下で行われる工事に、当時入社5年目の若手ながら現場責任者として活躍。

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    K.O

    「七面山プロジェクト」A.Hさんの補佐業務を担当。当時は入社2年目の、ジョブローテーション終了直後からプロジェクトに果敢に挑戦。

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前例のない工事。七面山という高難易度な環境でのプロジェクト

どのようなプロジェクトだったのでしょうか?

K.H山梨県の「七面山」という山にある浄化槽が故障しているということで、調査を依頼されたのがことの発端でした。行ってみると、通常よりも大きなサイズの浄化槽が6つほど設置されていて、半分以上が壊れていました。お寺は住職さんと10名程度のお坊さんや山務員が生活されていて、宿坊には最大800名の参拝者を受け入れできますが、浄化槽の機能が低下しているため宿泊客を制限している状況でした。

K.O標高2000mの場所に位置していたので、富士山の 5合目くらいの高さです。そもそも山頂まで道路が整備されていないので、人を送るにも山道を4時間歩く必要がありました。輸送車も絶対に入れないので、資材の運搬も難しい。普通の平地であれば、輸送車で資材を運び配管工事を進めるだけなので、3週間で終わると思いますが、このプロジェクトは半年ほど時間をかけました。

K.H工事計画のとりまとめをするのは営業の役目だったのですが、資材の運搬方法や発生する汚泥(※)への対処方法など一筋縄ではいかないことがあまりにも多くて。ヘリコプターを使ってみる?山頂からふもとまで全部配管を引いてみる?など、いろいろなアイディアを検討しました。試行錯誤した5パターンの工事方法の提案を経て、いざやろうとはなったものの、汚泥の処理方法も役所の取り決めの例外にあたるため、役所も巻きこむことに。工事開始前の検討事項をクリアしていくだけで2年かかりました。※汚泥:水処理で発生する廃棄物のこと。

A.H実際にスタートしてからも「やったことがない」のオンパレードでした。例えば、脱水機(※)の設置。平地であれば工場で組み立てたものを輸送車で運んで設置するだけで済みます。一方今回は、現場に輸送車は入れない。結果、すべての部品を小分けにしてケーブルカーで運び、山の上で組み立てることになりました。※脱水機:産業廃棄物として扱われる汚泥の処分量を減らすため、脱水して含水率を低下させる機械のこと。

K.Oそうでしたね。合計2tの重さがありましたが、ケーブルカーに載せられるのは最大200kg。しかもケーブルカーは毎日使えるわけではなく、輸送を手伝ってくれる業者さんの勤務形態と運搬のタイミングがそろうかどうかもまちまち。結果、想像以上に時間がかかり、思い通りに工事が進まない…。こんな風に、時間・空間・人など様々な制約条件を先読みしたうえで、最適解を模索していった半年間でしたね。

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「やってみよう」の気持ちで挑戦できる。秘訣はお互いの関係性にあり

難易度が高いため、他社メーカーが断る案件だったそうですね。なぜ実行に踏み切ったのでしょうか?

K.H「過去に誰かが浄化槽を設置したのだから、西原ネオができないことはない」と信じて営業をしていました。西原ネオは様々な工事を行っていますが、一見できないようなことに挑戦していく姿勢のある会社です。営業部以外にも、設計部や工事部など、プロジェクトに関わるさまざまなメンバーが否定的にならず、「やってみよう」と試行錯誤して、共に計画を練り上げてくれたからこそ、決行にいたりました。

A.H私も「やってみたい」という気持ちで挑戦することに決めました。こんな工事、絶対今のチャンスを逃したら二度と経験できないなと。ただ、挑戦の裏側にはK.Hさんもおっしゃる通り、西原ネオの「人」の存在は大きかったです。私の場合は、K.Hさんから工事のことを事前によく説明をしてもらっていました。「基本的にコンビニやテレビのない環境で月の半分を過ごすことになるよ」と。どれだけ大変なことなのかということを心配してくださったというか。非常に自分のことを想ってくださっているなと感じたので、挑戦する勇気が出ました。

K.O私は当時2年目で、大きな現場を経験するのは初めてでした。初めての現場がこのようなイレギュラーな案件になるとは思っていなかったし、山の上で自分よりも目上の方に囲まれて仕事も生活も一緒にやっていくってどんな風になるんだろうと。ただ、実地研修の期間、私のことを指導してくれたA.Hさんがいるなら頑張れそうだなと感じて決断しました。

A.H「○○さんがいるなら」って言葉は、結構社内でもよく聞こえてきます。浄化槽設置・修繕のプロジェクトの一つひとつは、規模も大きいので、絶対にひとりではできず、協力しないと成功しないもの。部署同士の横の関係でも、先輩後輩といった上下の関係でも、お互いを大切にしあえる人間関係が築けるカルチャーがあるからこそ、会社組織として大きな挑戦ができるのかなと思いますね。

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想定外のトラブルも、チームの力で乗り越える

実際に山の上で生活したり、仕事をしたりするのは大変じゃなかったですか?

K.O生活面の話になると、プロジェクト期間中は、1ヶ月のうち2週間ほどを山の上のお寺で、住職さんたちや職人さんたちと一緒に生活をしながら工事を進めていました。朝起きてちょっと外を見ると鹿がたくさんいたりして、結構面白かったです。(笑)

A.H工事に関わる皆さんと近い距離にいたからこそ、現場に要望をいただいて、一緒に解決していく協力関係が築けましたよね。逆に仕事の話だと、完璧に工程表通りに進むわけではなく、想定外の対応が必要になることもありました。

K.O印象的だったのは、コンクリート割れの対策を決めた時です。浄化槽に必要な機械を設置するための基礎工事(※)で使うコンクリートが、冬になると寒さで割れてしまう可能性が高く、もっと分厚くできないか…というご要望を受けたんです。しかし、ミキサー車を山の上に呼ぶことは例にもれず不可能であったため、分厚いコンクリートを用意することはできません。基礎工事が終わらないと機械の設置には移れないので、工期遅れが発生してしまうかもしれない…現場には緊張感が漂っていましたが、代理人のA.Hさんが短い期間で情報を集めて技術的に判断を下していたのがすごかったなと。 ※基礎工事:地面と建物のつなぎ部分にあたる”基礎”を造るための工事のこと。

A.Hあの時は、思い出してみると本気すぎて笑えてくるほどでしたね。すぐに東北支店や協力業者から話を聞いて、寒さの中での割れ対策の知見を集めました。結果、発泡スチロールを活用した工法がベストであるという結論に至りました。決定の期限までは1週間ほどしか時間がなかったので、工法を検討するだけではなく、同時に周囲への告知を進めたり、搬入計画の作成など、目まぐるしく動き回りました。私はまだ業界では若手のほうで、経験に基づく自信があったわけではないんです。ただ「現場のことを決断して、最後に責任を持つのは自分なんだ」とは、強く思っていました。そして、その決断をフォローしてくれるチームだったことも、成功した秘訣だったと思います。

K.O確かに、いろいろな人に支えられた工事だったなと思います。K.Hさんは営業だから、普通の会社だったら案件を現場に引き渡して終わりのはずなんです。でも、立場や役職関係なく、現場の様子を見に来てくれたり、工事中のちょっとしたことについても、お客様との調整役をしていただいて。だからこそ、安心して現場に集中できたシーンも多かったです。

K.Hお互いが支えあったり、時には現場で意見交換できるくらいに風通しがよかったです。私は営業ですが、工事の進捗を見て、改善できるところは二人に意見を伝えるなんてこともしました。それにもちゃんと向き合ってくれましたね。いいものづくりのために、同じ方向を向いて取り組める関係性ができているんだなと再認識しました。

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困難をともに乗り越え、さらに大きな挑戦ができる集団へ

プロジェクトを乗り越え、今思うことを教えてください。

K.O率直に、「もう、山には登らないのか…」とちょっとだけ寂しい気持ちになりました。(笑)半年間、工事の経験だけではなく、山の上で生活するという非日常も経験でき、終わったときは非常に達成感がありました。挑戦してよかったなと素直に感じましたね。

K.H私が計画をしているときから工事の終了までは、3年ほど経っていましたから、無事に工事を終えたときは、本当に嬉しかったです。落慶式(※)に呼んでいただいて、感謝状をいただきました。先方としても、難しいとわかっていながら要望をいただくことも多かったからこそ、非常に感謝されましたね。難解な仕事ほど、やりがいも大きいなと感じます。※落慶式:社寺などの新築または修理の落成を祝う儀式。

A.H自分のキャリアにとって非常に意味のある成功体験を得ることができたと思います。そして、やはりプロジェクトを支えてくれるのは、人の力だなと。どれだけ精緻な計画をしても、計画は計画でしかない。実際に動いてみて、仲間同士で支えあったり、お客様と深く関係性を築くことは、これからも大切にしていきたいです。

ありのままで、生きろ。