
前例のない工事。七面山という高難易度な環境でのプロジェクト
どのようなプロジェクトだったのでしょうか?
K.H山梨県の「七面山」という山にある浄化槽が故障しているということで、調査を依頼されたのがことの発端でした。行ってみると、通常よりも大きなサイズの浄化槽が6つほど設置されていて、半分以上が壊れていました。お寺は住職さんと10名程度のお坊さんや山務員が生活されていて、宿坊には最大800名の参拝者を受け入れできますが、浄化槽の機能が低下しているため宿泊客を制限している状況でした。
K.O標高2000mの場所に位置していたので、富士山の 5合目くらいの高さです。そもそも山頂まで道路が整備されていないので、人を送るにも山道を4時間歩く必要がありました。輸送車も絶対に入れないので、資材の運搬も難しい。普通の平地であれば、輸送車で資材を運び配管工事を進めるだけなので、3週間で終わると思いますが、このプロジェクトは半年ほど時間をかけました。
K.H工事計画のとりまとめをするのは営業の役目だったのですが、資材の運搬方法や発生する汚泥(※)への対処方法など一筋縄ではいかないことがあまりにも多くて。ヘリコプターを使ってみる?山頂からふもとまで全部配管を引いてみる?など、いろいろなアイディアを検討しました。試行錯誤した5パターンの工事方法の提案を経て、いざやろうとはなったものの、汚泥の処理方法も役所の取り決めの例外にあたるため、役所も巻きこむことに。工事開始前の検討事項をクリアしていくだけで2年かかりました。※汚泥:水処理で発生する廃棄物のこと。
A.H実際にスタートしてからも「やったことがない」のオンパレードでした。例えば、脱水機(※)の設置。平地であれば工場で組み立てたものを輸送車で運んで設置するだけで済みます。一方今回は、現場に輸送車は入れない。結果、すべての部品を小分けにしてケーブルカーで運び、山の上で組み立てることになりました。※脱水機:産業廃棄物として扱われる汚泥の処分量を減らすため、脱水して含水率を低下させる機械のこと。
K.Oそうでしたね。合計2tの重さがありましたが、ケーブルカーに載せられるのは最大200kg。しかもケーブルカーは毎日使えるわけではなく、輸送を手伝ってくれる業者さんの勤務形態と運搬のタイミングがそろうかどうかもまちまち。結果、想像以上に時間がかかり、思い通りに工事が進まない…。こんな風に、時間・空間・人など様々な制約条件を先読みしたうえで、最適解を模索していった半年間でしたね。