納豆工場排水の課題を解決

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食文化の創造を通して社会に貢献する株式会社ヤマダフーズ様。
同社の「おいしさへのこだわり」と「環境負荷低減への取り組み」に、
西原ネオの廃水処理システムが活躍しています。

お話/株式会社ヤマダフーズ 代表取締役社長 山田 伸祐様

山田 伸祐様
「さらなる研究と発信を」と語る山田社長

おいしさを科学して
業務用納豆国内トップブランドに

 弊社の創業は昭和29年(1954年)、私の祖父母が農家の副業として納豆をつくっていたことに始まります。以来、お客様の健康なカラダづくりに貢献することをめざし、安全でおいしい製品づくりを心がけてきました。
 納豆の原材料は大豆、水、納豆菌とシンプルですが、その味は温度、圧力、時間、微生物など製造工程の小さな変化に左右されます。
 そこで弊社は職人の勘頼りだった納豆づくりをコンピュータ制御し、生産ラインの自動化によって量産体制を整えました。また納豆の「おいしさ」についても科学的に分析し、色、匂い、硬さ、粘り、うま味を数値化することにより、客観的な評価を行っております。
 このように品質が高く、おいしい納豆の安定供給が可能になり、現在、全国シェア4位、業務用納豆国内1位に成長いたしましたが、健康志向の高まりから大豆製品の可能性は無限に広がっています。ライフスタイルの多様化に合わせたユニークな製品やアレンジレシピ、海外向けの製品開発など、弊社は今後もさらなる研究を重ねて国内外へ発信していきたいと考えています。

多様なライフスタイルに対応するラインナップ 多様なライフスタイルに対応するラインナップ
納豆のおいしさを科学的に分析
納豆のおいしさを科学的に分析
コンピュータ制御による最先端の生産体制
コンピュータ制御による最先端の生産体制
浸漬工程
浸漬工程
工場周辺に広がる豊かな自然
工場周辺に広がる豊かな自然

恵みの水に感謝して
循環型社会に貢献

 納豆発祥の地といわれる秋田。弊社の秋田工場がある美郷町には奥羽山脈を水源とする六郷湧水群があり、清らかな水質と豊かな水量で「全国名水百選」に選ばれています。
 この豊かな地下水を1日450t使用する弊社では、日々の廃水処理に細心の注意を払ってきました。
 納豆の製造工程である浸漬、蒸煮、発酵、冷蔵熟成のうち、特に注意しなければならないのが、大豆に水を吸水させる浸漬工程です。大豆から溶け出した糖質やサポニンなどの成分が未処理のまま流出すれば、周辺農家に多大なご迷惑がかかるばかりでなく、河川や海洋の汚染にもつながってしまいます。
 納豆づくりに使用した水を、きれいにして自然の循環にもどすこと。これは近隣地域のみならず、持続可能な社会の実現に弊社が果たすべき責任であると考えています。

ネオFP膜分離システム
――導入の経緯からメンテナンスまで――

 長年使用していた廃水処理システムが老朽化し、2014年に新しいシステムを導入することになりました。このとき採用したのはタンク内に活性汚泥を沈めて処理する「回分式活性汚泥法」でしたが、導入から数年の間に工場の生産量が増えたことで沈降性が悪化し、薬品代が嵩むなどの問題が発生しました。
 そこで弊社は再度コンペを行い、採用したのが西原ネオさんの「ネオFP膜分離システム」でした。実証試験を経た上で決め手となったのは 1、固液分離性にすぐれ処理後の水質が圧倒的にきれいだったこと 2、水槽を増やさなくても処理能力は1.5倍になり省スペースで済むこと 3、外気温に左右されず安定的に運用できること、この3つが大きなポイントでした。
 またシステムの優位性もさることながら、弊社にとって最適だったのが「ネオFP膜分離システムサポート契約」という制度でした。毎月一定のコストはかかりますが、メーカー側で運転状況を常に遠隔監視し、定期点検、水質管理、修繕・交換も行ってくれます。弊社の廃水と処理システムとの相性も良く、運用は順調で人件費も削減でき、何よりも常にプロが見守ってくれているという安心感があります。
 昨年、弊社の横手工場で製造用水にトラブルが発生した際、西原ネオの担当者さんが休日返上で飛んできてくれまして、おかげでスムーズに操業再開に漕ぎ着けたことがありました。このように導入後も弊社とのリレーションシップを大切にしてくれる西原ネオさんを選んで良かったと思っています。

処理水と活性汚泥を分離する膜分離槽
処理水と活性汚泥を分離する膜分離槽
膜分離槽内に設置されている膜ユニット
膜分離槽内に設置されている膜ユニット
河川に放流される処理水
河川に放流される処理水

 今回、西原ネオがヤマダフーズ様に導入した『ネオFP膜分離システム』は東洋紡社製の汚泥が付着しにくくはがれやすいMBR用平膜『FILPLATE®』を採用したメンテナンス性の高いシンプルな設備構成の廃水処理システムです。納豆の増産により処理能力不足になってしまっていた既存の回分式活性汚泥法のシステムに対し、改造により3つの回分槽を2つのばっ気槽と1つの膜分離槽にして膜分離活性汚泥法を確立し、システム全体として処理能力の増強と処理水質の安定化を同時に実現しました。

ネオFP膜分離システム
ヤマダフーズ秋田工場様の廃水とネオFP膜分離システムによる処理水
ヤマダフーズ 秋田工場様の
廃水とネオFP膜分離システムによる処理水

 西原ネオは創業者から引き継いだ「自然から得たものは、また元の形にして自然に返す」をモットーとしています。この考え方をもとに、豊かな自然を背景とし良質な水を原料にする株式会社ヤマダフーズ様が持つ周辺環境に対する配慮の思いを、西原ネオ独自のネオFP膜分離システムとそのサポート契約により実現しました。
 これからも西原ネオはお客様の水に関わる様々な課題に対し、解決に向けてお客様と一緒に考えて形にし、アフターフォローを続けていきます。

【西原ネオのソリューションエピソード集】
~信頼されるパートナーとなるために~

西原ネオの企業理念”信頼されるパートナーとなる”を表した、
実際にお客様へ提供したソリューションをエピソードとして紹介します。

西原ネオの企業理念”信頼されるパートナーとなる”を表した、実際にお客様へ提供したソリューションをエピソードとして紹介します。

課題克服の事例紹介

  • EPISODE.1

    放流停止の
    危機回避

  • EPISODE.2

    技術力による
    性能確保

  • EPISODE.3

    海外の
    水環境保全に貢献

  • 放流停止の危機を乗り越えた
    工夫と対応

     あるお客様の工場廃水処理施設において、処理機能がダウンして処理水を河川へ放流できなくなる可能性があると、緊急の協力要請が西原ネオにありました。もし処理水の放流ができなくなると工場の生産を停止せざるを得ないため、多額の損失が発生してしまう危機的な状況でした。

     西原ネオは即時に支店と本社でチームを編成し、当日中に現場に乗り込み情報収集を開始、翌日から行った水質調査、機能診断により原因は急激な流入負荷の上昇による生物処理の機能不全であると特定し、2日間で対策概要を作成しました。

     機能不全に陥った生物処理を短期間で復旧させるのは難しいため、一旦生物処理を廃水処理のフローより切り離し、生物処理の替わりに空き水槽と西原ネオで保有しているポンプ等の機器類を駆使した仮設的な凝集沈殿処理を確立しました。そして、この仮設の処理を実施している間に生物反応槽へフレッシュな活性汚泥を補充し、反応槽内に溜まった難分解性物質の分解を行い、約1カ月で生物処理機能の回復を図って復旧をしました。

     お客様にはこの復旧期間中に廃水への負荷を極力減らす作業も実施していただきましたが、最終的には工場の生産を停止せずに復旧することができ、感謝の言葉とともに相当の対価もいただきました。西原ネオとしてはこの緊急対応を機に対応時の問題点や反省点を認識したことで会社としての経験値という資産を得ることができ、その後の対応に活かしています。

    放流停止の危機を乗り越えた工夫と対応 放流停止の危機を乗り越えた工夫と対応
  • 徹底した原因究明と技術力による
    性能確保で信頼回復

     西原ネオが以前お客様の工場に導入した新設のMBR方式の膜処理施設において、運転開始後1カ月程度で膜差圧が急上昇し、その後薬液洗浄を繰り返し実施したものの、膜の閉塞が起きやすく、最終的に膜が頻繁に破損し処理水に汚泥が混入してしまう不具合が発生してしまいました。さらに当時西原ネオとしてこの施設で新規採用した膜のメーカーから汚泥性状の不適合を指摘されて、メーカー保証対象外となり、プラントを建設した当社の責任ですべて対応せざるを得なくなりました。

     納入したプラントが性能を発揮できないというお客様の信頼を失いかねない状況で、西原ネオとしてこの不具合対応に多くの費用と人員を割くことが必要となったのですが、顕微鏡による生物診断を含む徹底的な調査とテストの結果、原因が糸状性細菌による汚泥の粘性増加にあることを確認し、薬剤の添加により汚泥の性状を改善する方法を確立しました。

     その後、お客様には調査の過程を評価していただいたことから、お客様と良好な関係を築き上げることができ、薬品の添加を続けてもらった上で定期的な生物診断を行い、汚泥の性状をチェックしながら運転を継続しています。また、この件は、機器メーカーの謳う性能をすべて鵜吞みにせず、主要な設備やシステムについては自分たちで検証してからお客様に納入する必要性を改めて認識した出来事として、西原ネオの教訓となっています。

    徹底した原因究明と技術力による性能確保で信頼回復 徹底した原因究明と技術力による性能確保で信頼回復
  • チャレンジスピリットを引き継ぎ、
    海外の水環境保全に貢献

     西原グループの創業者 西原脩三は海外志向が強く積極的に欧米で技術の勉強をして日本に持ち帰ってきたことで、西原グループの礎を築き上げました。私たちはこのチャレンジスピリットを引き継いで、より深刻な水環境問題を抱える東南アジアをはじめとした新興国の各地に対し、水に関わる様々な課題の解決に挑んでいます。

    • In Myanmar

       ミャンマーでは、現地の作業員への指示がうまくいかない、そもそも予定していた作業員が集まらない、酷暑で脱水状態になりそうになるなどの苦労を乗り越えて、有害な廃液を処理する施設の建設や浄化槽の設置を実施しました。

      ミャンマー
      ミャンマーの浄化槽設置状況
      ミャンマーの浄化槽設置状況
    • In Indonesia

       インドネシアでは、輸送した装置が現地の輸入通関で足止めされる、計画したタンクが設置できず建物の一部を壊して設置するなど、多くの予定変更を経ながらも、これまで海に未処理で垂れ流されていた高濃度の水産加工廃液を処理する施設を設置しました。

      インドネシア
      未処理の原水 一時処理水 最終処理水 未処理の原水 一時処理水 最終処理水
      左から
      ・未処理の原水
      ・一次処理水
      ・最終処理水
      当初はこの未処理のままの廃水が
      そのまま海に放流されていた。

    西原ネオは今後も引き続き、タイの合弁会社である株式会社アクア西原、中国・香港の関連会社西原環保(上海)股份有限公司、西原香港有限公司を通じて、海外の水環境の保全に貢献していきます。